東海ろうきんの仕事と育児の両立――父親としての自覚が世の中の見え方を変えた

シルバー

written by 大久保 崇

東海3県(愛知・岐阜・三重)にお住まいの方々の生活応援バンクとして貢献する東海労働金庫(以下:東海ろうきん)。一般的な銀行との違いを活かし、はたらく人の資金ニーズにとことん応える協同組織の福祉金融機関です。

そんな東海ろうきんに入庫して9年目。営業係としてお客様の声を聞き、労働金庫が持つ役目を全うするために現場で日々奮闘する長谷川 貴大(はせがわ たかひろ)さんにお話を伺いました。

長谷川さんは第一子が産まれ、地域に貢献する仕事と育児を両立している営業係です。そんな長谷川さんに、東海ろうきんでのお仕事の様子から、仕事と育児をどのように両立させてきたのかなど、日々感じていることを語っていただきました。

 

 

長谷川 貴大(はせがわ たかひろ)さん

長谷川 貴大(はせがわ たかひろ)さん

2014年入庫、名古屋南支店に配属。2018年7月に半田支店に転勤。預金係、融資係を経て営業係へ。全ての係を経験し、2022年現在も半田支店で営業を担当。「労働組合」所属の組合員への資産運用提案や、住宅ローン・車のローンの融資相談などを行う。他にもライフプランや資産運用セミナーといった「お金」に関するセミナーの企画や実施も担う。

取材・執筆:大久保 崇

取材・執筆:大久保 崇

『ダシマス』ディレクター。2020年10月フリーランスのライターとして独立。2023年1月に法人化し合同会社たかしおを設立。“社会を変えうる事業を加速させ、世の中に貢献する”をミッションとし、採用広報やサービス導入事例など、企業の記事コンテンツの制作を支援する。猫ファーストな人生。歩くこと、食べることが好き。

組合員とその家族の幸せまで考えて仕事をする

――今日はよろしくお願いします。まず、長谷川さんが東海ろうきんに入庫しようと思われた理由からお聞かせください。

私は愛知県出身ということもあり、元々、東海三県で仕事をしたいと思っていました。そして私の親族には銀行員や公務員が多かったこともあり、漠然とですが金融機関での仕事を考えて就職活動をしていたと思います。

金融機関では、手に取れる物を商品として扱うわけではありません。だからこそ、自分自身の知識、スキルや話し方しだいでお客様に興味を持っていただくことができます。それはこの業界で仕事をする際の醍醐味だと考えていました。

2014年に入庫し今年で9年目になります。東海ろうきんではジョブローテーション制度を設けており、入庫後1年目預金係、2年目融資係、3年目営業係を担当し、労働金庫の主な業務をこの3年間ですべて経験します。

私は3年目以降、営業係として最前線に立ち、お客様の勤務先・ご自宅に訪問して、お客様の意向に沿った金融商品のご提案をしてきました。

 

――実際に金融機関で働いてみてわかった仕事の醍醐味や、反対に難しく感じたことなどはありますか。

「金融機関は堅い仕事」というイメージは元々持っていたのですが、実際に働いてみると想像以上で衝撃を受けました。お金はもちろん、書類に関しても扱うもののほとんどが重要物ですので、厳重に管理されていることを体感し身が引き締まる思いでした。

また、金融機関というよりも、東海ろうきんだからこその醍醐味ですが、労働組合の役員の方たちと同じ目的を持って組合員の生活応援ができることです。金融機関とお客様という立場ではなく、対等な「仲間」として活動ができるのはやりがいを感じますね。

 

――営業係として、日々どのような動き方をされているのでしょうか。

訪問日が決まっている労働組合様へ出向き、預金積立や金融商品に関するご相談、融資のご相談、書類の取り次ぎ、など、金融業に関わるさまざまな相談を受けています。

 

――お客様とコミュニケーションを取る中で、大事にされていることや気をつけていることがあれば教えてください。

とにかく多くの方と話すことを意識しています。私自身が基本的に明るい性格で話すことが好きなので、ほぼ雑談になることも多いですね。

ただ雑談をすることで、その方はどういう思考を持ち、どういうことが好きか、などが聞けるのでその情報をもとに、その方にあった提案ができるようになります。まずは信頼関係を築いてから、組合全体を巻き込んでいくことを意識してコミュニケーションを取るように心がけています。

また、私は日頃から「はたらく人たちとその家族のため」という言葉を信念にしています。組合員本人だけでなく、組合員のご家族も含めて皆が幸せになれるよう、それぞれのご家族に合ったライフプランを提案していくことを心がけています。

 

一人に負担を背負わせない風土が根付いた職場

――東海ろうきんの職場環境について、雰囲気や特徴など教えてください。

穏やかな雰囲気と残業時間が少ないことでしょうか。1分単位で就業管理をしているので、ワークライフバランスが取りやすい環境だと思います。

一人だけが残業をし、他の職員が帰るということが基本的にありません。業務量が多い職員がいた場合、職員みんなで手伝い、早く帰れるようにするなど、常日頃から全員が協力して業務を行い、職場全体で早く帰ることを意識していますね。

こうした取り組みは、今いる半田支店でもその前にいた名古屋南支店でも同じなので東海ろうきん全体に根付いている風土だと思っています。

 

――これからも大事にしていきたい文化ですね。

そうですね。私も助けてもらっているので、自分がしてもらったことを他の人にもできるように心がけています。ただ、自分にできることはまだたくさんあると思っているので、これからも皆で協力する職場風土は意識していきます。

また実際の業務においても大事にしていることがあります。それがしっかりとチームで目標に向き合うことです。

私たちは非営利の組織で利益追求をしない金融機関でもあるのですが、東海ろうきんをご利用いただいている皆様へのさまざまなサービスを提供するためには最低限の利益確保は必要です。こうした必要な利益を得るため、様々な商品の推進などの目標が組織的に示されますが、お客さまへの最適なサービスを維持するために「目標には組織的に取り組む」という意識が強くなってきたと実感しています。

営業一人が目標を達成すれば良いということではなく、全員が同じベクトルを向いて全員で達成するために動く。一人ひとりが、チームの中で自分の役割を果たそうとする意識は強いと感じています。

 

――長谷川さんが東海ろうきんに入庫してから、思い出深いエピソードなどあれば教えてください。

最初の支店で営業に出た時に、労働組合の方に厳しくご指摘をいただいたことがありました。

実は東海ろうきんに入庫して最初の頃は、営業に出ても大変なことが多かったので、正直「何がお客様のためになるのだろう」と思っていた時期がありました。自分のライフプランがしっかりできていないのに、お客様のためにできることなんてあるのかと。

ただ、こういう気持ちは本当にお客様に伝わるんですよね。ある組合員の方から、私の提案や話に「心がこもっていない」とはっきり言われました。提案だけでなく、仕事に対する向き合い方からして甘いと言われることもありましたね。

こうした不甲斐なさをバネに今日まで取り組んできたからこそ、今は本当に組合員さんのことを考えながら仕事ができるようになったかと思っています。労働組合の役員の方や組合員からご指摘やご指導いただいたからこそ今がありますね。

 

子どもと一緒に自分も成長。育児を始めて父親としての自覚が芽生えた

   

――続いて長谷川さんの育児についてお伺いさせてください。まだお子様は1歳になられてないということですが、実際に子育てはどのようにされているのでしょうか。

私は育児休暇を5週間取得して職場復帰しました。妻は現在も育児休暇中です。職場復帰してからも、夫婦で協力しながら育児をしています。

一人目ということもあり、日々とにかく分からないことばかりですね。

寝かしつけたり、ミルクをあげたりもするのも決して簡単ではなく、常日頃から「育児は夫婦で協力していこう」と話し合っています。正直なところ、仕事が終わってからの育児は本当に大変です。でもかなり充実した毎日を過ごしているという実感はありますね。

 

――ご夫婦でどのように分担されているのでしょうか。

私の主な役割はお風呂と寝かしつけです。仕事を定時で終え、家に帰ってすぐに子どもをお風呂に入れます。

こうした役割は大変な面もありますが、基本的には好きでしているので「楽しい」という気持ちの方が勝ちますね。朝仕事に行く前は子どもが起きていないことがあり、子どもと触れ合えずに出勤するので帰ってきてから子どもと触れ合う時間はとても大切な時間だと思っています。

この時期の子どもは日々の成長が早く、一瞬で過ぎてしまう期間ですから、こうした機会は大事にしなくてはいけないと感じています。

 

――「早く帰ってお風呂入れてあげたい!」という気持ちで仕事を頑張っていらっしゃるのですね。

そうですね。仕事はなるべく定時で帰るようにして、「お風呂は絶対自分が入れるぞ!」と思って毎日過ごしてます(笑)。

 

――長谷川さんは5週間の育児休暇を取得されたとのことでしたが、休暇の申請など取得に関してハードルを感じるようなことはなかったでしょうか。

特に取りにくいと感じることはありませんでした。

ある時期からは、男性職員の育児休暇の取得は私を含めて100%全員が取得していると聞いています。法律改定などの影響もありますが、昔に比べて男性も育児休暇が取りやすくなってきているという感覚はありますね。

東海ろうきんとしても、職場としても、育児休暇を取得しやすいように働き掛けてくれているのでありがたいです。

 

――5週間の育児休暇中はどのように過ごされていたのでしょうか。

仕事のことはほとんど考える必要がないくらい、本当に満喫させていただきました。

今でも覚えているのですが、私が「5週間の育児休暇を取ります」と支店長に伝えた際に、「仕事のことは忘れてお子様、奥様との時間を最大限に楽しんでください」と言ってくださいました。表面的にではなく、本当に心から思って言ってくれているなと感じたんです。

それでかなり気持ちが楽になりました。

 

――育児を始める前と後で大きく変わったことは何でしょうか。

最も大きかったのは、本当に自分が父親としての自覚が芽生えたということです。

父親になって今まで考えなかったことも色々と考えるようになり、子育てを通じて自分も成長させてもらっていると感じますね

 

――子どもが5歳、10歳と大きくなった時に、想い描いている理想の未来像などあればお聞かせください。

特に変わったことではなく、家族仲良く健康でいることができればそれが一番だと思っています。その上でコミュニケーションはずっと大事にしていきたいですね。

私は話すこと、コミュニケーションが好きなタイプです。「親の背中を見て成長する」ということではなく、子どもとも、しっかりコミュニケーションを取りながら本人の意見も聞き向き合っていきたいと思っています。

 

母親の凄さを改めて実感。仕事と育児の両立に一層励む

――夫婦で子育てしていく中で、改めてパートナーに対して思うことはありましたか。

子どもの反応に敏感で、そして的確に理解しているのが本当にすごいなと感じます。

例えば泣いていると「なぜ泣いているのだろう」と思って戸惑うこともあるのですが、妻は「これが理由だと思う」とすぐに理解するんですよ。一緒にいる時間が長いこともあるのかもしれませんが、やはり母親はすごいなと感じながら日々過ごしています。

 

――母親というのは本当にすごいですね。

これは自分の妻に限らず、母親として育児をされている皆様に対しても感じていることです。

自分が親になるまでは、他人事で「いつも大変そうだな」と感じる程度でしたが、今は困っていそうな母親を見かければ率先して手助けしたくなります。些細なことですが、例えばエレベーターの扉を率先して開けに行くことはしていますね。

 

――「子育てが始まる」というのは、色んな意味で人生の劇的な変化ですね。

本当にそう思います。今までの人生から180度変わりました。

 

――今は非常に満足した毎日を過ごされていると。

はい。仕事も9年目なのでだいぶ慣れてきて、自分ができる提案の幅も広がりました。そんな中、「育児」という新しい刺激が私の人生に加わりました。

自分の思い通りにいかないことがほとんどですが、そうした思い通りにならないことも含めて楽しんでいきたいですね。

 

東海ろうきん(東海労働金庫)について

・ホームページ:https://tokai.rokin.or.jp/

・採用情報:https://tokai.rokin.or.jp/recruitment/

 

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