入社10年で感じた「仕事は自分を映す鏡」、野球ファンがイベント警備で正社員になった背景
written by ダシマス編集部
1969年に愛知県で設立された中京綜合警備保障株式会社は、「ALWAYS-SECURITY-OK いつでも、どこでも、どんな時でも高品質なセキュリティを提供する。」を掲げるALSOKグループの警備会社です。
今回は同社で警備として勤める丸田さんにお話を伺いました。丸田さんはアルバイトとしてイベント警備を経験する中で、正社員として入社することを決意。それから現在まで10年を経て現場の責任者、隊長を任されるまでになりました。
もともと野球ファンだった丸田さんが、野球場のイベント警備を通してどんなことを感じてきたのか、イベント警備の仕事の魅力を伺いました。
中京綜合警備保障株式会社 丸田 拓海(まるた たくみ)さん
幼少期から家族の影響で中日ドラゴンズを応援。高校卒業後に中日ドラゴンズにかかわる仕事がしたいとの思いで、アルバイトを経て中京綜合警備保障に入社。今年で勤続10年目となる。現在に至るまでバンテリンドームナゴヤの野球の警備を担当している。長所は歩くのが速いことと、怒っても声を荒げずに落ち着いていられること。最近の悩みは自身の健康と、自分の子供たちとの適切な距離感。将来の夢は畑で野菜を育てること。
執筆:井崎 まゆ
フリーライター。文系大学院を卒業後、アニメ系専門学校で声優を育てる仕事を経験。転職エージェントに転職しキャリアアドバイザーに従事。現在はフリーランスとしてライター、キャリアコーチなどに取り組む。国家資格キャリアコンサルタント。
ドラゴンズファンが出会った、イベント警備という仕事
ーー丸田さんは正社員として中京綜合警備保障に入社してから10年とお聞きしました。同社に入社したきっかけを教えてください。
高校卒業後に2年程フリーターをしていました。仕事を探すにあたって求人情報誌を地下鉄の駅でもらってきて、そこにバンテリンドームのイベント警備の仕事が載っていたのがきっかけです。
興味を持ったのは、もともとドラゴンズのファンだったから。他球団には浮気せず、ずっと一筋です(笑)。幼い頃には福留孝介選手が好きで、同じ福留モデルのグローブを使うくらいファンですね。
アルバイトとしてイベント警備をし始めた当初は、公務員を目指していました。でも経験を積むうちに、だんだんと警備の仕事を本格的にやりたいなと思って正社員に。ドラゴンズファンだったということと、警備の仕事が自分の将来にも役に立つかなと思って入社を決めました。
ーーイベント警備の仕事内容を教えてください。
私の業務内容は、本社の内勤と現場の仕事が半々くらいです。現場の仕事のメインは、バンテリンドームナゴヤでの野球の警備ですね。イベント警備で重要なのは事前の計画で、仕事の大半を占めていると言っても過言ではありません。大勢の隊員と連携して動くため、トラブルが起きないか、計画通りに事が進んでいるか確認しながら進めて行きます。事前にどれだけイメージできるかが、仕事がうまくいくかを左右します。
またイベント警備は接客も大事で、いいイベント警備が出来ているかの半分は接客の質にあるくらいです。一般的な警備よりも、かなりお客様との関わりが多い仕事ですね。
ーーイベント警備の面白い点はどんなところでしょう。
ポジティブな気持ちが集まる場所で働ける点ですね。イベント会場に来られるお客様のエネルギーはすごくて、いつも元気をもらっています。また、エンターテイメントに一端でも携わらせていただいている、という感謝を持って仕事をしています。
ーー入社から10年、これまで働いてきた中でご自身が変化してきたこともあったのでしょうか。
20代前半の頃は、頑固なところもあったなと反省しています。時にはお客様を怒らせてしまう場面もありましたが、こうした経験をきっかけに、考えを柔軟にしようと意識を変えてきました。
そんなふうに気をつけていたら、徐々にお客様からの印象も良くなったと実感しています。職場の仲間に向けても同様ですね。自分の行いが自分に対して返ってくるということは、ここ10年で一番実感したことです。
あと仕事を始めてから、社会との繋がりを大事にしたいと思うようになりました。
振り返ると、私は学生時代はもう少し内向的な性格だったというか、人と会話するのも好きなタイプではなかったし、自分の話をするなんてほとんどなかったです。でも働き始めてから積極的に人と関わるようになりました。自分を変えられたことに感謝しています。
大事なのはお客様と対話できるよう、わかりやすく言語化すること
ーー会社としての魅力や特徴を教えてください。
弊社はイベント警備に強い会社です。愛知県を中心に仕事をしておりますが、東海3県、大阪や東京などの国際展示、国際的なスポーツイベントといった場でも実績があります。
どの現場においても、イベント主催者が求めるクオリティでサービスが提供できている点を高く評価していただいてると思っています。ご来場者様に良い印象を残しつつ、しっかりと伝えるべきことを伝えられる隊員を揃えられる部分も弊社の強みですね。たとえば、サッカーワールドカップの東京・渋谷スクランブル交差点の警備で話題になった、DJポリスのような役割が得意です。お客様の楽しむ気持ちを損なわずに、安全に誘導できるのは、伝えるべきことをきちんと理解し、その上で工夫ができている証拠だと思います。
ーー優秀な隊員の方がたくさんいらっしゃるんですね!そうした人材を育てる上で、大事なポイントは何でしょう。
大事なポイントは2点で、見た目と言葉遣いです。見た目の部分は、何か悪いことをしようとする人がいたときに、ぱっと見てここは近づいちゃ駄目だと思わせることが大事なんです。姿勢であるとか、服装を正しているとか、まずは見た目を整えることが大事ですね。
言葉遣いに気を配れることや対話ができることも大事な部分ですが、はじめから喋ることが得意な隊員は全体の2割くらい。大半は現場で働いていく中で慣れていって、求められるレベルのサービスが提供できるようになっていきます。
ーー隊員の中でも、隊長に任命されるのはどういう方でしょうか。
人の話をきちんと聞いた上で、人に伝えるべきことを明確に話せる方です。話を短くまとめて分かりやすく伝えることが大事で、私でも今も苦労する時があるくらい、その大変さを日々感じています。伝えるべきことを言語化し、わかりやすく短くまとめるのは難しいですが、とても大事なことです。
ーー丸田さん流の伝え方のコツなどはありますか。
なるべく簡単な言葉で伝えることを心掛けています。警備の仕事は専門用語が非常に多く飛び交う職場ではあるので。隊員がお客様に対して話すときにも、なるべくわかりやすい言葉で伝えなきゃいけないと教育しています。そう言う以上、私から隊員に対して伝えるときも、簡単かつわかりやすい言葉で伝えるよう気をつけていますね。
対話がしやすく、顔がみえる職場を作りたい
ーーイベント警備の現場担当者として、意識的に取り組まれていることはありますか。
隊員が働きやすい職場づくりに力を入れています。現場で働く隊員が分からないことや、不安に思ってることに対して、しっかり教えてくれる人がいる。そんな安心して働ける環境をつくりたいですね。
たとえば今ですと、「経験年数に関係なく対話がしやすい空気感や文化をつくる」ということに取り組んでいます。そこまで大きな規模の組織ではないので、隊員同士で顔を覚えて名前で呼び合うような雰囲気はつくれているのではないかと思います。
また、仕事後でもフォローができるように、事後アンケートを設けています。ビジネス用メッセージアプリを活用し、現場で解消できなかった疑問点をこういった受け付けられるようにしているんです。アプリはスケジュール調整など他の面でも役に立っているので、比較的、仕事がやりやすい環境は整っているかと思います。
ーーこれまでの10年を経て、今後の展望をどのように考えているか教えてください。
アルバイトの時に現場でお世話になってた方に誘われて入社したのですが、その先輩が今も上司なんです。その方が担っている仕事を、自分が支えていけるようになっていきたいなと思っています。
また、私も現場で働く一人ひとりの得意なこと、苦手なことをしっかりとカバーできるようにしていきたいですね。まだまだ至らない点も多いですが、いろんな方と関わりながら勉強していきたいです。
ーーありがとうございました。最後になりますが、この記事の読者に対して一言メッセージをお願いします。
警備という仕事に対するイメージはさまざまだと思いますが、イベント警備はお客様の活気に満ちている場所で働ける、すごく楽しい仕事です。仕事の不安な点があっても私たちが一生懸命支えますので、興味がある方はぜひ応募していただければと思っています。
編集後記
インタビューで丸田さんが真っ直ぐ和やかにお話しされていたのが印象的でした。インタビューの最後には、同席していた人事の方から丸田さんについてのこんな素敵なお話も。
“丸田は私が10年前に面接をしました。その時はこんな立派な隊員になるとは思わなかったです。でもアルバイトを経て社員になってくれて、隊長ポストを任されるまでに成長してくれて、非常に嬉しく思っています。本当に、将来うちの会社を担っていく人になるかもしれませんね”
丸田さんがインタビューで話していた「仕事を通じて作ってきた社会とのつながり」を私たちに見せて頂いたような気がしました。仕事での経験の積み重ねが人の居場所を作る、そんなことを感じたインタビューでした。
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